中島産みかんって?

中島産みかんのご紹介

― 知る人ぞ知る「みかんの島」から、まごころ込めて ―

瀬戸内海に浮かぶ小さな島「中島」。ここは古くから“みかんの島”と呼ばれ、最盛期には海岸から山の頂上まで、まるで島全体がみかん畑のように広がっていました。

しかし今、そんな中島の農業は転機を迎えています。高波による塩害や後継者不足により、農家の数はこの20年で半減。島の人口は約2,000人ですが、20代の農家は数人ほどしかいません。実は私自身も30歳を迎え、若手農家から一歩“年長”側になってしまいました。

島には小学校が1校だけ。それに対して、介護福祉関係施設は13もあります。中島が直面している少子高齢化の現実です。

かつては多く出荷されていた中島のみかんも、今では出回る量が減り、松山市外ではほとんど見かけなくなりました。それでも知る人ぞ知る“ブランドみかん”として、根強いファンに愛され続けています。

中島のみかんが特別な理由

◆ 温暖な気候と長い収穫期間

中島は10月から12月にかけて、本土の松山よりも暖かく、冬も冷え込みにくいのが特徴です。寒さによって果実の食感が悪くなる「ス上がり」が起こりにくく、安定して美味しい柑橘が育ちます。

特に注目されるのは、3月に収穫される「セトカ」。全国的に寒害で出荷が難しかった年でも、中島産は元気に出荷され、大きな話題となりました。

◆ みかんの糖度を左右する「雨」との関係

みかんの甘さには「水の管理」がとても大切。秋から収穫時期にかけて雨が少ないと、実の糖度がしっかり高まります。

中島は6月の成長期に雨が多く、12月の収穫期には雨が少ないという、理想的なサイクルを持っています。

近年は「マルチ栽培」と呼ばれる防水シートを使う方法もありますが、傾斜の多い中島では難しい面も。だからこそ、自然環境そのものが甘いみかんを育ててくれているのです。

◆ 水はけの良い傾斜地

離島ならではの山岳地形により、水はけが良く、みかん栽培に最適な土壌環境が整っています。特に温州みかんはこのような場所でこそ、しっかりと甘くなります。

ただし、傾斜地での作業は重労働で危険も伴うため、後継者不足の今、管理が難しい畑から手放されていく現状も…。だからこそ、今ある畑で採れる「本当においしい温州みかん」はどんどん貴重な存在になっているのです。

◆ たっぷりの太陽光と海からの照り返し

中島の畑は、ほとんどが海に面していて、太陽の光をしっかり浴びることができます。海からの照り返しがさらに光を届け、色づきの良い、甘くて味の濃いみかんを育ててくれます。

「特別扱い」されていた中島みかん

中島は今でこそ松山市の一部ですが、かつて中島町だったころは、「丸中みかん」という独自ブランドとして流通していました。同じ品種であっても、松山産とは区別され、特別扱いされていたのです。

合併後は他の地域のみかんと混ざって出荷されるようになり、品質を求める声からクレームが続出したというほど…。それだけ「中島産」のみかんには、ブランドとしての信頼と誇りがありました。

最後に

中島は、まるでみかんのために用意されたかのような自然環境を持つ島です。その恵まれた地で大切に育てられた、今や希少となった中島産みかん。ぜひ一度、その特別な味を体験してみてください。